頭蓋縫合
早期癒合症
はじめに
赤ちゃんの頭の骨には「縫合線」と呼ばれる骨と骨のつなぎ目があり、それによって脳が成長していきます。本来これらの縫合は成長に合わせて徐々に閉じていきますが、生まれて間もない時期に一部の縫合が早く閉じてしまう状態を 頭蓋縫合早期癒合症(Craniosynostosis)と呼びます。
縫合が早く閉じてしまうと、頭の形がゆがんだり、成長に伴って脳に圧がかかったりする(頭蓋内圧亢進症)ことがあります。それに伴い、発達への影響が懸念されるため、早期に診断し、必要に応じて手術による治療を行います。
疾患の種類と特徴
頭蓋縫合早期癒合症は、閉じる縫合の部位によって頭の形や症状が異なります。
矢状縫合早期癒合症(舟状頭)
頭が前後に長く、幅が狭くなる。最も頻度が高い。
冠状縫合早期癒合症(短頭・斜頭)
一側性では顔の左右差、両側性では頭が短く高くなる。
ラムダ縫合早期癒合症(後頭斜頭)
後頭部が斜めに変形。
前頭縫合早期癒合症(三角頭)
おでこが尖り、目が寄ったように見える。
多縫合早期癒合症
縫合線が複数癒合する場合、その癒合部に応じた変形が生じる。
治療について
手術の目的
- 変形した頭蓋骨を整え、脳の正常な発達に必要な空間を確保する
- 整容的に自然な頭の形を回復する
- 頭蓋内圧亢進や視力障害などの合併症を予防する
手術方法
患者さんの年齢・重症度・癒合している縫合の部位に応じて術式を選択します。
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癒合縫合切除+ヘルメット療法
生後早期(概ね6か月未満)の場合に選択されることがあり、低侵襲で出血量も少ない。
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開頭頭蓋形成術(Cranial Vault Remodeling)
頭蓋骨を切開して形を作り直す従来の方法。特に1歳以上の症例や変形が高度な場合に選択。
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骨延長術(Distraction Osteogenesis)
頭蓋骨を切り、専用の延長器を装着して少しずつ骨を広げる方法。後頭部拡大(Posterior Cranial Vault Distraction, PCVD)などが代表的で、頭蓋内圧の改善に有効。
手術時期
頭蓋骨が柔らかく成長が旺盛な生後6か月~1歳半頃までが最も適切な時期とされています。ただし症例によっては2歳以降に手術が必要となる場合もあります。
術後の経過とサポート
手術により頭の形や脳の発達環境は改善しますが、術後も定期的な経過観察が必要です。
- 頭蓋の形態の再変形がないか
- 再癒合による頭蓋内圧の上昇がないか
- 視力・発達への影響がないか
を長期にわたって確認します。
また、術後に軽度の形態差や成長に伴う見た目の変化が残ることもあります。当科では、整容的な悩みや発達に関する心配についてもご家族と一緒に相談し、必要な支援や追加治療を検討しています。
当科の特徴
- 脳神経外科、小児科などが協力する多職種チーム医療
- 3D CTやシミュレーション技術を用いた精密な手術計画
- 術後の成長に合わせた長期的フォローアップ体制
- 中顔面発育不良など顔貌変形に対する治療
まとめ
頭蓋縫合早期癒合症は、見た目の問題にとどまらず、脳の発達や生活の質に影響を与える可能性がある病気です。大阪医科薬科大学病院形成外科では、患者さん一人ひとりに最適な治療方法を選択し、手術だけでなく術後の成長や生活まで見据えた包括的な医療を提供しています。
